【一陸技】工学A 令和5年1月期第1回 A-12 解説
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レーダーにおけるパルス圧縮の問題である。この問題も昔から出題されている。
レーダーの送信に使われる電波はチャープ波形といって、周波数が時間とともに線形に変化していくような波形である。以下のように開始周波数f1 ~ 終了周波数f2 で変化するパルスである。特長量はパルス時間幅T、周波数変化Δfである。
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パルス圧縮技術とは、受信したパルス波形を特殊なフィルター(周波数特性が送信時の周波数変化Δfの逆の特性をもつ)を通すことでパルス幅を狭くして強度を強くする技術である。こうすることで、送信電力が低くても大電力で送信したパルスと同じような効果を得られる。
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特殊なフィルターやそれを用いた数学的な処理の話は別の機会に譲ることとし、今回は問題を解くための最小限の解釈に留める。
上の図において、元々パルス幅Tだったものを。T’=1/Δfに圧縮することは覚えておく。
そのうえで、振幅A’はどうなるかを考える。
(振幅)2はエネルギーを表す。送信パルスと受信パルスでは全エネルギーは保存するので、
A2 * T = A’2 * (1/Δf)
A’ = A ×√(TΔf)
以上より、
[A] 逆 [B] √(TΔf) [C] 広 [D] 狭
答えは4である。