【一陸技】工学A 令和5年1月期第1回 A-7 解説
FMのSN改善係数 I を求める問題です。SN改善係数って何かというと、変調前のSNから変調後のSNがどれだけ改善したか?です。定義としては、
SN改善係数 I = ( S / N )out / ( S / N )in
※ ( S / N )in ・・・復調前のSN
※ ( S / N )out ・・・復調後のSN
FMの場合は、復調の際に高周波部分のノイズが抑圧される(デエンファシス)があるため、復調するとノイズが低減されてSNが向上します。
AMの場合も、同期検波の際に入力信号cosωctに直交するノイズ成分Nsinωctが除去されるため、復調するとノイズが減ってSNが向上します。
しかし、この改善係数 I を求めるには少々、計算が必要で、ノイズのモデル化も理解しないといけないのでハードルが高い。改善係数の求め方は、別の機会に紹介するとして、、、
ただ、一陸技の場合は計算公式を与えてくれているので、代入するだけで答えが求まる。
さて、問題の方に移る。
問題文を読んでいき、扱っているFM波の正体を明らかにしていく。
- キャリア周波数・・・与えられていない。今回は不要。
- 最大周波数偏移・・・fd = ?・・・自分で計算が必要 (変調指数)mf = (最大周波数偏移)fd/(変調周波数)fp で求める。
- 等価雑音帯域幅・・・B = 3[kHz]・・・ここではノイズの帯域のことなので、占有周波数帯ではない!記号が同じなのでややこしい。。。
- 最高変調周波数・・・fp = 3[kHz]・・・変調周波数のうち最大の成分。教科書的な記号だとfs。。。
- 変調指数・・・mf = 4
全体的に記号が非常にややこしい。間違えないように注意するべきだ。
方針としては、最大周波数偏移 fd を求めてから、改善係数 I の公式にぶち込めばOK。
最大周波数偏移 fd = mf * fp = 4 * 3[kHz] = 12[kHz]
よって、
改善係数 I = 10log10 [ 3 fd2 * B / 2*fp3 ]
= 10log10 [ 3 (12k)2 * 30k / 2*(3k)3 ] = 23.8 ≒ 24[dB]
以上より、答えは5である。
ちなみに、SN改善係数だが総務省の「電波法関係審査基準」という資料にいろいろな変調方式の改善係数が列挙されている。(PDFのp.11参照)